「龍也は何で、
藤咲に行ったんだ?」

高校なんて
山ほどあるだろうに。

「あの当時
一番の進学校が
藤咲だったんですよ」

初めて知った。

「今は藤咲より
いい進学校が
沢山ありますけどね」

「透こそ
何で藤咲にしたんですか?」

歩いて行けるからだ。

「近いからと
後は桜香が
一緒だったからな」

基本、づぼらの俺は
桜香に便乗した。

「本当に仲が良いんですね」

「小さい頃から
ずっと一緒だったから
高校で離れるっていうのも
なんだか嫌だったんだよ」

適当にごまかしといた。

「龍也は、一緒に
行きたいと思った
友達とか
居なかったのか?」

「居ませんでしたね。
勉強を教えてくれてと
言ってくる人達は
沢山居ましたけど
特に仲が
良かったって言う
友人は中 高校時代は
居ませんでした」

そうなのか。

「ある程度の付き合いは
勿論ありましたけど
透と途軒君のような
親友と呼べる
存在は居ませんでした。
まぁ、だからと言って
まったく友人が居ない
わけじゃないですけどね」

龍也なら友達が
多いイメージだったんだけな。

「親友とまでは
いかなくても
大学からの
友人は居るんですよ」

「そぉなのか?」

「はい」

「何時か、
紹介してくれよな」

さっきの龍也の
台詞を借りてみた。

「そぉですね。
透が高校を
卒業したら紹介しますよ」

「楽しみにしてる」

「でも、龍也が
年下の男と
付き合ってるなんて
知ったら
引かれるんじゃないか?」

ノーマルな人間なら
確実に引くだろう。

「大丈夫ですよ」

自信満々だな。

「根拠は?」

「彼も同じだから」

同性愛者って事か……

「ご想像の通りですよ」