「今度は
龍也の話が聞きたい」

「いいですけど
あまり、面白い話
ないですよ?」

聞ければ何でもいいんだ。

「龍也の話が聞けるなら
なんだって良いんだよ」

「何処からお話したら
いいんでしょうか?」

龍也が悩んでいる。

「じゃぁ、龍也が
俺達くらいの時の
話が聞きたい」

「高校時代ですか」

そうそう。

「その頃の私は
教師になろうなって
思ってなかったんです」

へぇ~

「と、言いますのも
両親が教師だったので
何時も口煩かったんです」

自分の親が
教師だったら
俺はグレてたかもな。

「そぉなのか」

「はい
兄も私も
両親とは
よく喧嘩しました」

「兄貴、いるのか?」

「二つ上の兄がいます」

そうなのか。

「良いな、
兄弟がいるっていうのは。
俺も桜香も一人っ子だか
やっぱり、
兄弟がいるって
良いなと思うんだ」

兄弟みたいに育った
俺たちでもやっぱり、
血の繋がった兄弟とは違う。

「兄貴、
何の仕事してるんだ?」

「普通の会社員ですよ」

意外だな。

「龍也は何時
教師になろうと
思ったんだ?」

「高校三年の夏ですね。
進路が決まってなくて
当時の担任の先生に
お前は頭いいんだし
教え方も上手いんだから
教師し目指してみろと
言われたんです」

今度、龍也に
教えてもらおう。

「確かに、勉強は
出来ましたし
人に教えるのも嫌いじゃ
なかったんですが
なんせ両親が
教師でしたから
反発心もあったんです」

成る程。

「何て言うか……
負けた気がして
初めは担任の先生にも
嫌だって言ったんですよ
だけど、
今は嫌だと思っていても
教師になった時に
本当の答えが
見えるはずだから
とりあえず
目指してみろと言われ
教育学部に行ったわけです」

「良い担任だな」

まさに、恩師だ。

「そぉですね」

「龍也って何高?」

出身校知らないな。

「クスッ、藤咲ですよ」

マジ!?

「え?」

素っ頓狂な顔した俺を
見て、笑った。

「母校なんです」

「それ先に言えよ」

予想外だった。

「透の驚いた
顔を見たかったんです」

小悪魔め。

「何だよそれ」

「何となくです」