「私と一緒に
来て頂きたい
場所があるのですが
今よろしいでしょうか?」

上擦らないように
必死ですね。

「一体何処に?」

大きなな声では
言えないので
私は手のひらに
"校長室"へと書きました。

それを見て
更に顔を引き攣らせて
「分かりました」
と言って先程の生徒に
「皆に自習だと
言っておいてくれ」
と頼んだのです。

「俺は用事が出来たから
頼んだぞ?」

極力、平静を装いながら
先程の彼に頼みました。

「はい」

「じゃぁ、宜しくな。
九重先生、
行きましょう」

廊下に出た岩滝は
其処に居る透を見て
眉間に皺を
寄せましたが
何も言いませんでした。

-遠野視点-

「皆、岩滝が
用事が出来たから
自習だってさ」

何なのかは知らないが
あいつがいなくなり、
体育館の中は
騒がしくなった。

「マジか?」

「おう」

オレの名前は
遠野稔
(とおのみのる)

九重先生に
岩滝を←いつも呼び捨て
呼んで来て欲しいと
言われた時は驚いた。

岩滝に用が
あったらしい。

岩滝の隣に居た
オレは九重先生が
手のひらに書いた
文字を見てしまった。

"校長室へ"

確かに、九重先生は
手のひらにそぉ書いた。

チラッと、廊下を
見ると新庄が居た。

岩滝と九重先生が
体育館から出て行った後
新庄が入ってきた。

あいつが岩滝の
授業に出ないのは
いつもの事だし、
逆に出たのは
二、三回だ。

それより、岩滝の奴
何をやらかしたんだ?

校長室に呼ばれるって……

何したんだ?

「よぉ、相変わらず
体育はサボるな」

こいつがサボるのは
岩滝の体育だけだが。

「めんどくさいからな
それに、俺は
あいつが嫌いなんだよ」

「なぁ新庄、
あいつが校長に
呼ばれた理由(わけ)
知ってるか?」

「あぁ、知ってるぜ」

「マジかよ」
理由(わけ)は何なんだ?」

オレは結構噂話が好き
だったりする。

理由(わけ)を
知っていると言う
新庄に詰め寄った。

「此処じゃ
話難いから帰りに話す」

言いにくいことって
マジであいつ、何したんだ?

「分かった
じゃぁ決まりな」

「ドン引きするぜ」

呆れ返った顔の
新庄をみて
そんなに酷いのか? と思った。

「マジか……」

「冗談抜きでマジだ」