俺は龍也の居る
キッチンへ行った。

所変わって
此処はキッチン。

「透、やっと来ましたね」

「悪い」

「謝る程の事でも
無いですよ」

ギュッと龍也が
抱き着いて来た。

龍也は
「今日は沢山
作ったんですよ」と言った。

確かに見渡す限り
キッチンにいっぱい
いっぱいの料理が並んでいる。

「龍也、流石に
作り過ぎじゃないか?」

「お二人を祝福
しようと張り切り
過ぎまして(苦笑)」

成る程。

「龍也らしいな(笑)」

「それは、
褒めてるんですか?」

「どぉだろうな♪」

「透(泣)」

泣きまねをする龍也。

「泣くなよ、
嘘嘘、褒めてるって」

「きっと二人とも、
喜んでくれるよ」

龍也の頭を
ポンポンと
軽く叩きながら言った。

「だと良いんですけど」

眉を下げている。

「何弱気に
なってるんだよ?
龍也らしくないなぁ」

「最初、あまり
自信無かったんです……」

何にだ?

「龍也の飯は
美味いって!!」

「俺は
龍也の飯食った時
初めて、桜香以外の
飯を美味いと
思ったんだ」

語るなんて柄じゃないが
不安になっている
龍也に話す。

「はっきり言って
親父のはあんまり
美味くないんだ。

だから、自信持て!!」

「……」

黙って、俺の話を聞く
龍也は俯いている……

そこに、桜香が来た

「透? 九重先生?」

あまりにも、遅い俺達の
様子を見に来たのだろう。

そして状況を見て
桜香が勘違いしたらしく
「二人は喧嘩したの(焦)」
と訊いて来た

「違いますよ。途軒君」

龍也が答えた。

「??」

「喧嘩じゃねぇから安心しな」

不思議に思いながらも
喧嘩じゃないと解って
ホッとしたみたいだ。

「なら良いんだけど」

「龍也……
お前は変な所で
自信が無いんだな(苦笑)」

「どぉ言う事?」

「龍也な、
料理に自信が
無いって言い出してさ……」

桜香は
近くにあった料理を
つまみ食いした。

「美味しい
九重先生、
とっても、
美味しいです」

僕のより
断然美味しいと呟いた。