~4年後・ストックトン裏通り~



あれから四年。
サラは十六歳になっていた。
容姿は幼い頃とは比べものにならないほど美しくなり、とても魅惑的な淑女へと成長していた。

ところが、髪はバサバサで服は薄汚れ、まるで八年前の放浪時代のようだった。
しかしサラは元から美しいので、いくらか薄汚れていても本来の美しさがカバーして何とか保っているが、それでも、今の彼女は浮遊している幽霊のようだった。

事実、サラは再び路頭に迷っていた。

ハリーのアパートは姉に嗅ぎ付かれているだろうから帰るに帰れなかった。何より、一人でアパートにいるのは寂しい気がした。

ハリーの遺体は警察に連絡して引き取ってもらうことにしてサラはアパートを出た。

しかしアパートを出ても、姉は今でもサラに復讐しようとつきまとう。
ある日、落ちていた新聞を拾い上げて見ると、見出し一面に、サラが通っていた小学校の関係者が全員謎の変死を遂げたことが書いてあった。

友達も、ヘレン先生も、みんな。

…………姉がやったのだ。
姉は、自分に近付く者すべてを殺すつもりだった。
結局以前と同じ状況に戻ってしまった。

……それでもサラは生き抜いた。
こんなに頑張る自分は、八年前となんら変わっていない。

そう。

変わらない。

復讐心が。

ぬぐえない敗北感があった。

自分は復讐しなければならない相手に負けたのだ。



───そんなことを考えていると、見慣れた場所に出た。

サラ〔ここは……私とハリーが、初めて会った……〕