Hateful eyes ~憎しみに満ちた眼~

死んだOLの財布の中を見る。
千ドルも入っていた。これなら何とか生きていけるだろう。

いけないことだというのはわかっていた。
でも、今のサラが生き延びるにはこうするしかなかった。

ところが、現実というものは実に残酷であることを、サラは身をもって体験した。

物乞い兼狩りを続けているうちに、ストックトン裏通りには誰も近づかないようになり、警察ですらやってくることはなかった。

やがて冬になり、ゴーストタウンとなった通りで、サラは小さく震えていた。

……寒い。

……私はこんなところで死ぬのだろうか…………。
……そうだ!場所を変えれば……………ここの二の舞……か…………。

何もかもが絶望という色に染まっていく中……。

彼は現れた。

白いナップザックに暖かそうなコート。下はジーンズといかにも庶民的な黒髪の二十代の男性。
手にガイドブックを持っているところをみると、旅行者か。

サラ〔久しぶりのカモが来た。これでしばらくは助かるわ〕

内心ほくそ笑みながら、サラは建物と建物の隙間から飛び出した。

サラ「お金頂戴!」

拒めば、この男も殺すつもりだった。
しかし男は笑顔で答えた。

「いいよ」

驚きのあまり点になった。
こんなにあっさりと孤児の物乞いを承諾するなんて、よほどのお人好しかバカか、そうでなければ変人だ。うん。ちょー変人だ。

「いくらくらい?」

サラ「あ……えと……百くらい」

ナップザックから財布を取り出し、恵んでくれた男の行動に対し、感謝と恥じらいを込めてお礼を言う。

サラ「……ありがとう」