嘆きの天使-ジュニアイドル葵の事情-



「ヤダ!!!

ヤメて!!お父さん!!」



シンクの中で、声が響く。



私の頭を目掛けて

どんどんと流れ出す冷たい水。


髪の芯まで冷たさが伝わり、

身体がブルンと震え出す。



「お父さん!!

ヤメて!!!!

お父さん!!冷たい!!」



どうして、
こんな目に合わなくちゃいけないの?


どうして、
こんなことされなくちゃならないの??


どうして??


どうして??


お父さん…

ヤメて……。



「お父さん、ヤメてよ!!」



横から健太の声が聞こえた。


お父さんの腕を引っ張り、

私を助けようとしているようだ。



「うるせぇ!!!

お前は引っ込んでろ!!」



お父さんは右手で健太の体を突き飛ばした。



ドン!!!!!



「痛い!!!!」



壁にぶつかる鈍い音と同時に、

健太の叫び声が聞こえた。



「……あぁぁぁぁぁ」



苦しそうな声が、

足元から聞こえて来る。



お父さんの手が一瞬、緩んだ隙に

私は頭を上げた。