たまにしか
顔を出さない姉ちゃんは、

母さんに
お金を貸してほしいと

お願いにきたようだ。



多額の借金を抱えているらしい。



多重債務者となった姉ちゃんは、

どこからもお金を借りられず、

高金利の
“闇金”から借りてしまったようだ。



二人の会話が
途切れたかと思うと、

ドンドン……と
玄関まで歩く音が聞こえ、

ガッチャ!と扉が閉まる音がした。



姉ちゃんはまた家を出て行った。



「……母さん??」



ふすまをゆっくりと開け、

テーブルの上で
頭を抱えている母さんに声をかける。



ピクリとも
反応しない母さんの傍に

腰を下ろした。



「……姉ちゃん、

いくら貸してほしいって?」



静かに顔を上げた母さんが

「はぁぁ」とため息を漏らした。



「姉ちゃん、

一体、何をやってるんだ?」



「さあぁ。親の私にも検討が付かない」



完全に疲れきった母さんに、

これ以上質問は出来ない。