ダイスケside



冬のガソリンスタンドのバイトは
手荒れが酷く、

アカギレが出来ていた。



白い息を吐きながら、

時給900円の
アルバイトを続ける俺は、

夢を持つことも出来ずにいた。



高校にも行かず、

生活するために働く。


それが今の現実だった。



そんな俺の家では、

正月に帰ると言っていた姉ちゃんが、

一ヶ月遅れで帰って来た。



「お母さん!!!お願い!!!!」



「そんなこと無理よ!!」



「今、返さないとどうなるか、分からないんだよ!」



久しぶりの帰宅というのに、
すぐに母さんと言い合いが始まった。




部屋で漫画を読んでいた俺も
上体を起こし、

話に耳を澄ました。



「あんたがダラしないから、
そうなるんでしょ!」



「気が付かなかったんだもん!!

お願い、助けて!!」



姉ちゃんのシホは、

3年前に家を出てから独り暮らしをしている。



高校を卒業してから
近所のスーパーに就職したが、

3ヶ月で辞めてしまい、

今は新宿に住みながらパチンコ店でバイトをしている。



でも見た目は
どんどん派手になっていた。