雨が降り出しそうな
グレーの空の下、

傘をぶら下げながら、

いつもの坂道を登校する。



あの撮影から一ヶ月が過ぎた。



あれから私の中で

更に罪悪感が募り、

誰かに知られるのではないか……と怯える日々を送っている。



男子が見る普通の雑誌には
載らないと聞いているが、

どこでバレるか分からない。


そんな不安を抱える私の前を

一人の生徒が
ショルダーバックを斜めがけにして歩いていた。



友井くんだった。



ネットに入れたボールを
時折、軽く蹴りながら

クラスメイトと話しながら
登校している姿が目に入った。



コンビニの前で会った以来、

友井くんを見つけると
目で追ってしまう私がいた。



ボロボロの気持ちを
ホッとさせてくれた、

優しい笑顔と温かいコーヒー。


あの味は忘れることが出来ない。


でも見ているだけで良かった。

だって、

私とは吊り合わない。


友井くんだって、
迷惑に決まっている。


優しくしてくれたあの夜は

良い思い出なんだ。