綺麗な音色を立てながら、
紗希は光りに翳(かざ)した。



「凄い!!
キラキラしている。綺麗!!」



「紗希には
貰ってばかりだから、

今日は渡せて嬉しい!!」



「気遣わなくて良いのに。
でもありがとう!!大事にする!!」



嬉しそうに
手の平の上で
オルゴールを眺める紗希に、

私も嬉しかった。



「……でも軽井沢って、旅行??」



問いかける紗希に

「え?あ、そんなところ」と答えた。



「そっか。
お父さんともうまくやっているんだね!!良かった!」



紗希には
お父さんと喧嘩したこと、

健太が突き飛ばされて怪我したことも伝えた。



数日前にそんなことがあったのに、

軽井沢に行ったと聞いて……

変だと思ったはず。



「……紗希、
ごめん、旅行じゃないんだ」



「え???」



「ウソついてごめん」



「そんなこと別に良いけど、

軽井沢で何してきたの?」



嘘付きたくない。

紗希なら分かってくれる。


私たち友達だから。



「どうしたの?

言いたくなかったら、言わなくても良いよ」



「ううん。そうじゃないの。

紗希には話す。

昼休みに聞いてくれる?」



「分かった!後でゆっくり話そう!」



紗希は私の肩に手を置き、
笑みを浮かべた。