「…私が恐い?
それとも気持ち悪い?」

「…ん?」


冷めた瞳でそう尋ねる私を彼は不思議そうに見つめる。


「私が恐いでしょ?
気持ち悪いでしょ?」


「いや、可愛いと思うぞ。俺、黒髪好きだし。」


私の長い黒髪を指さしてそう答えた。


「顔の話しじゃ無い!!」


思わずそう突っ込んだ自分の口を両手で塞ぐ。


もう…なんかヤダ…
大声上げて馬鹿みたい。


「ぷはっ…良かった!!
なんか暗い子なのかと思ったらそうでもなかった!」


ニカッと笑う彼の笑みが眩しい。私にはそんな笑顔出来ない…


幸せに育ったからこそ出来る笑顔…


幸せと無縁だった私に笑顔は疎か、笑う意味すら分からない。