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『……早すぎちゃった…』
長い髪を一つにまとめ、眼鏡をかけた女の子が携帯を眺めながら噴水の縁に腰掛ける。
ディスプレイに映るのは
"和人さん"の文字。
この記憶から感じるのは、"和人さん"に向けられた激しい熱情と愛。
それから信頼だった。
『舞衣…さん…?』
『和人…さん?』
お互いの呼び方から、顔を合わせるのは初めてなのだと思う。
でも…何故だろう……
この人に舞衣さんは信頼を置いている。
『待たせたね』
『い、いえ………』
舞衣さん………
恥ずかしげに俯く舞衣さんの気持ちに気付いてしまった。
どんなに優秀で親の期待を裏切らない彼女にも好きな人がいて、恋をして……
普通の女の子には変わりないんだ。


