それに……


「…自分が化けモノだって自覚もあるから」


窓から視線を外さずに呟いた私の一言に夏が息を呑んだ。


「何で……」

「真実だから…。噂全てが嘘、偽りじゃないんだよ」


そもそも、こんな噂が立ったのにも理由がある。


思い出したくもないあの時の記憶……



それを振り払うように私はブンブンと頭を振った。



「字祢…字祢は………」


夏が何かを言いかけた瞬間、車が停止した。