―――「ねえ…百合子…、あれ、旦那様じゃない?」 …え…。 由佳の声に窓の外に目を遣る。 ……あ…。 私達のいるお蕎麦屋さんの向かい側に黒塗りのメルセデスが停まっている。 そこは大きなデパートの前だ。 ちょうど車に乗り込もうとしている悠斗の姿が目に留まった。 無事、…帰って来たんだね。 一週間振りに見る彼の姿に心がときめく。 だけど……買い物…?デパートに? 悠斗が? 車はしばらくしてから、スッと走り去って行った。