「じゃあ、宮間。頼んだぞ。 絶対側を離れるな」 「承知致しました」 俺は百合子の手をそっと離して取引先の一団の集まる方へと向かった。 ――――それから、一時間近くは経ったであろうか。 ようやく話を終えた俺は百合子の姿を目で探した。 …百合子?…どこにいるんだ? 百合子の手を離した場所に彼女の姿はなかった。 屋敷の庭のテラスではライトアップされた中、数組のペアが優雅にダンスを踊っている。 「……!」 その中の一組のペアを見て俺は言葉を失った。