違う…、そんな事じゃない…。 そう言いかけた時、秘書が俺の姿を見て駆け寄ってきた。 「副社長、お待ちしておりました。 早速、あちらの方からご挨拶をお願い致します」 「あ…ああ」 俺は引きずられる様に背中を押されていく。 「あの、百合子」 彼女はいつもの勝ち気な瞳で俺を見て言った。 「私は大丈夫。行って?」 …だけど…。 その時、執事の宮間が 「奥様のお側には私がついております」 と言った。 「副社長、お願い致します」 秘書が俺を呼ぶ。 「ほら、悠斗」 百合子が俺を促す。