煙草に火を点けて、窓から庭を歩く百合子を眺める。 彼女の小さな嫉妬の一つ一つが、煩わしいどころか、可愛く思えるなんて俺も随分変わったものだ。 お見合いしたあの頃は、百合子に愛されるなんて、あり得ないと本気でそう思っていた。 資金援助の条件として自分を手に入れるだなんて、俺が百合子ならそんな男は願い下げだ。 だけどそれでも良かった。 結婚さえしてしまえば、俺を愛する事など例えなくても、他の男のものになる事はない。 何年も、会うことすらなかったが彼女の顔を忘れた日など一日もなかった。