「…さてと…。
後は何だったかな。
俺の記憶が正しければ、次は……あれだな」
独り言のように呟くと彼は再び部屋を出て行った。
私は首から下がる、今の私には決して似つかわしくはない瑠璃色の石を見下ろした。
……本当に、綺麗…。
宝石の価値も何も分からない私だけど、うっとりとそれに見入る。
…だけど、もっと綺麗なものを私は知ってるわ。
それは……悠斗の瞳…。
透明で、深く黒い大きな揺れる彼の目に、これまで私は何度吸い込まれてきただろう。
いつか、きっと、このマリアクリスタルが似合う女になる。
私は石を手に取りながらそんな事を考えていた。

