「ゆ…うと……?」
彼は抱き締める腕をスッと緩めると私の顔を見下ろした。
「…全く…。欲張りな奥さんだ。
俺にこんな事を何回も言わせて。
社員やSPが見たらぶっ飛ぶぞ」
え、あの…。
「確かに、取引先や秘書の中には女が沢山いるが、俺は全く興味はない。
俺にとっての女は百合子だけだから。
…と、前に説明しただろ?
…お前は本当に本気でバカだな」
甘い言葉達に酔いしれていた私の頭に、ガツンと落とされる最後の一言。
彼をキッと睨み付ける。
そんな私を見て、「プッ」と笑う彼の笑顔は堪らなく魅力的だ。
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