「待たせた」 「スーツ・・・」 「しか持って来て無いんだ、 放っといてくれ」 仕事の事しか考えて居なかったし。 「良いけど別に、 店までちょっと歩くから」 そう言ってホテルを出た櫻田に 少し遅れて着いて行く。 風が少しだけ肌寒い気がした。 「詳しいんだな、仙台」 「昔よく来ていたの」 「・・・へぇ」 何処となくぎこちない雰囲気に 俺と櫻田の足音だけ聞こえた。