ガチャー
「ただい「シュンっ」」
家の扉を開けるなり飛びついて来た
物体を、無理矢理引き剥がす。
これで心臓が持つ俺は凄いと思う。
「なんだよ、離れろ」
「く・・・もが」
「は?・・・蜘蛛?」
俺のスーツを握って離さないキユを
引きずりながらリビングに向かう。
「ああ、蜘蛛だ」
「ああ、じゃないよ!
聞いてないんだけど蜘蛛出るなんて」
「蜘蛛ってのは神出鬼没だろ」
そう言いながら、カサカサと動く
ソレをそこにあった雑誌に乗っけて
外に逃がした。
「あたしの雑誌・・・」
うえ、と汚い目で雑誌を見てから
キユはようやく俺から手を離した。
「虫とか無理」
「何もしなきゃ消えるだろ」

