「ウェディングドレスって、 女の子にとっては もう一生の宝物だよね」 「・・・え」 前を向いたまま、 そう呟いたキユに戸惑う。 「あたしには、 分からないけどさ」 ーー子供は居るのに。 付け足された言葉が、 何を意味していたのかは 俺だって分かった。 結婚もままならないのに、 この年で子供が居るから。 世間体が悪いのは、 きっとあいつが、 一番分かっていたはず。 「キユ、お前・・・」 「あ、ちょっと あたしトイレ行きたい」 「あ、ああ」 何て言ったら、いいんだろ。