「申し訳ない、いきなり」
駅前の喫茶店。
「いえ・・・
よく分かりましたね、俺の会社」
俺はコーヒーを置いてそう答える。
親父さんは胸元のポケットを
暫く漁ってから、何かを出してきた。
「・・・俺の名刺」
「この間、家で見つけたんで」
そう言った親父さんに、苦笑いする。
キユと同じ手口かよ。
「それで、何か?」
「ああ・・・そうですね、本題を」
俺が聞くと、親父さんは
俺の名刺を再びポケットに閉まった。
・・・また閉まうんかい。
天然なのか突っ込みどころ万歳な
親父さんは、キユそっくりだ。
俺はまた小さく笑った。

