「じゃ、あたし、
れいた送って来るから先行ってて」
「迷子になるなよ」
「ならないし」と言って、
れいたの手を引いてキユは遠ざかる。
その後ろ姿に一人で微笑して、
俺ものんびり家へ歩いた。
正月だからだな、人気が無いのは。
家のポストで、実家から来た
年賀状やらを片手に部屋へ向かう。
ふと、中年のおじさんが
俺の部屋の前で中を覗き込むように
立っていたから、俺は首を傾げた。
「あの、うちに何か用ですか?」
一様、礼儀も兼ねて聞く。
「あ、いえ、えっと・・・」
おじさんがたじろくと、
後ろからパタパタと足音がした。

