「え?!香耶別れたの?!」

「やめてよ、花枝…
声が大きいよ」

大学の食堂。
周りには大勢の知らない人がたくさんいる。

ごめんごめん、と軽く謝りながら花枝は詳しい話を聞きたそうな顔をしてみせた。

私は持っていた箸をお皿の隅に乗せて、一呼吸おく。

「なんかねー、性格あわないってさ」

なるべく明るい調子で私は花枝に声をかける。
ただ、視線をあげることはできないで、白く盛られたご飯の山を見つめていた。


「は?」

花枝は納得いかないみたいな声を発した。その花枝の声にビクッとなって、ゆっくりと花枝を見る。
案の定、花枝は不機嫌そのもの、て感じの表情を見せた。

「…花枝?」

私は恐る恐る花枝に声をかける。
こんなふうに話している間にも私たちの横に座っていた学生たちは入れ代わり立ち代わり人が代わっていく。