「陽!」
噂をすれば影。
悶々としながら廊下を歩いていると前方から自分を呼ぶ兄の声が。
パアッと顔が輝いて、勢いよく顔を上げた。
見れば、確かにそこには遥の姿があった。
――しかし。
「……何してんすか、雲雀先輩」
「なーんだ。バレちゃった」
遥の声が高くなったかと思うと、髪と顔に手を掛けてそれらを剥ぎ取った。
黒髪のカツラからは金色の長い髪が、マスクの下からはスーパーモデルのような顔が出てきた。
「うーん…やっぱオーラまでは出せないか」
「当たり前ですって」
「でも陽、あんただけよ?一瞬で見破るの。ったく、面白くないんだから」
はあっ…と盛大に溜め息を付く雲雀。
彼女は変装で悪戯が趣味の傍迷惑な三年生。
(えぇぇぇ……)
一方、理不尽にがっかりされている陽は心の中で抗議の声をあげるも、仮にも先輩なので口には出さず。


