車を走らせ、向かう場所は会社ではなく与田荘のガローだ。

そこに車を停めて、大沢母娘と大公園の丘で待ち合わせをしている…。

先に丘に着いたのは自分だった。

夏の時のように、腰を下ろして耳をすましてみる…。

聞こえてくる昆虫の鳴き声は、もうにぎやかなセミではなく、静かなコオロギ達だった。