夏草の香りが漂う丘〜風が運んだ過去(トキ)〜[ナツコイ企画]

私はその矢口さんの袖を掴んだ。

「矢口さん…書いたんですか…?」

無かった事にしようとした事を、引き戻した私の質問に、矢口さんは周りを見渡してから、バックから封筒をチラッと出した。
そこには、『退職願』と書かれていた。

「わかりました…。」

私は、声を絞り出すと車の方へ向きを変えた。