ああ。

 サヤは、嬉しくなった。

 あの九十九神が、彼に愛されたいと思った気持ちが、何となく分かったからだ。

 ぶっきらぼうだが、きっと大事にしてくれる。

 これこそ、幸せな結末ではないか。

 上機嫌で、物語の最後に『完』をうとうとしたサヤだった。

 だがしかし。

「おーい」

 皮手袋の手を、お化けスタイルにゆらゆらさせている直樹。

「ぶははははっ、ザマァねえな」

 端末の前で、笑いで突っ伏している孝輔。

 ハッ!

 そして、思い出した。

 サヤは。

 彼らの仕事をメチャクチャにしてしまったのだ。

 あーー。

 兄弟の視線がいたたまれずに、サヤは新しい壷の陰に隠れてしまいたかった。

 もう。

 着物の少女はいなかった。