「黒田君って、真面目君?」
「えっ、まあ…」
安藤君はこの異様な雰囲気に気づいてないのか。
僕との会話を続ける。
「その眼鏡って……」
「安藤だっけ?」
逃げ遅れた…
気づくと周りは、沢君、松木君+その子分たちに囲まれていた。
だいたいクラスの半分が、今ここいる状態。
僕は巻き込まれないように、黙ってずっと下を見る。
何事もありませんように。
何事もありませんように。
僕は心の中で、念仏のように唱え続けた。
「“りょう”って呼んでよ。
今までそう呼ばれてたし。」
と言って、安藤君は沢君に手を差しのべる。
「よろしくな゛っ!!」
沢君は、安藤君の手を握った瞬間、物凄く力を込めたと思う。
みるみる赤くなる顔がそう語ってる。

