「はい、60゚!」
「一之瀬もっと曲げろ。」
「いてててて…いてっ!
って言ってんだろー!!!」
谷川君は一之瀬君の背中を強く押した。
60゚というより90゚以上に曲がった一之瀬君は、勢いよく起き上がった。
谷川君の顔は怒ってるというよりも、楽しんだ顔をしている。
確信犯ですね……。
「つーか、お前も練習しろよ。」
「何の?」
「だから、お辞儀とかの練習をだよ!」
一之瀬君のイライラが募ってくるのがよくわかる。
「俺、調理担当だから
別にお辞儀とか関係ねぇし。
接客とかにまわってもいいけど
俺以外に料理できるやつ、
いんの?」
一之瀬君は唇を噛み、何も言い返せない。
何も言い返せない代わりに、動物みたいにうなる松木君。
と、冷静に-280℃の視線でにらむ谷川君。
谷川君の勝ちだった。

