「おい!安藤涼真。」



4組の教室前で仁王立ちで現れたのは、田中ショウ君だった。



「あれ?
今日は双子の片割れは?」

「あんな奴と一緒にいると
吐き気がする。」



田中ショウ君は「あんな奴なんか…」と下を向いてぶつぶつ言っている。


 本当に仲悪いんだな。


演技していたときと180度変わっていて、それはそれで面白かった。



「世間話するために
会ったんじゃない。

これ。」



差しだされたのは誓約書。



「負けたのは事実だからな。」



田中ショウ君は、顔を背けながら言った。


負ければ、勝った者に従う。

そういう精神はみんなの中に、しっかりと備わっていた。




「あっ、ついでだから。
谷川正也って…」



安藤君がそう言うと、一瞬、田中ショウ君は苦い顔をした。