「気をつけてください。」 「…はい」 彼から荷物を受け取る。 さっきよりは、少し痛みが引いた。 これなら帰れそう。 「ありがとうございました。」 頭を下げて、家を出た。 まさかこの光景を、誰かが見ていたなんて、あたしは知らない。 ゆっくりと家に向かって歩く。 名前、聞けばよかったな…。 もう関わることはないかもしれないけど。 名前だけ聞いておけばよかった。 あたしはのんきにそんなことを考えていた。