「あれ、甘木さん?」 「あっ…」 「よろしくね」 隣の席は、宗也くんだった。 「よろしく」 笑ったけど、ひきつってたかもしれない。 だって… いまはそれどころじゃなくって。 教室をぐるっと見渡すと、空いている席を見つけた。 廊下側から2列目の2番目。 あたしとの距離は、遠い。 …やっぱり奇跡なんて、そんな簡単に起こったりしない。