「大丈夫だよ。」 やっぱり、優しい人だ。 「良かった。」 ニッコリ笑う宗也くんに、あたしも笑った。 「ありがとう。」 「うん。…じゃ」 そう言って、宗也くんは席に戻って行く。 その時、小さな声があたしの耳に届いた。 『僕のこと、覚えてないんだ』 確かに、そう聞こえた。 …どういうことだろう。