私は車に乗せられて、約1時間。


知らない場所に連れて行かれた。








「セレナ、降りろ。」

初めて出会った時からは想像も出来ないくらいの低い声で裕也さんが言った。




車から降りて、しばらく歩くと…


ガチャ。


「入れ。」


どこかの事務所みたいな所に連れて来られた。


そして…


「組長、片桐組の女を連れて来ました。」


裕也さんが言った。


扉の前の椅子に座っているのは、少し髭の生えた40代くらいの男の人だった。




この人が…?


「やぁ、こんにちは。山下久信(ヤマシタヒサノブ)です。

突然だけど、俺と結婚してもらう。」



…はっ?

結婚…。


「何言ってるんですか?」


そう言うと、組長は少し笑った。