クリップで留められたレポート用紙を捲りながら、内容を熟読する龍娘。

「……何とも誤字脱字の多い反省文だな…乱筆で古代文字のようだ」

「うるせっ」

龍娘の指摘に顔を顰める龍太郎。

「しかしまぁ、成績の悪い丹下にしてはよく頑張って書いた方か…事件の発端自体も、それ程悪質な理由によるものではなさそうだしな」

龍娘はレポート用紙を小脇に抱える。

「よかろう、この反省文を以って、今回の事件に関しては不問としてやる」

「マジかっ?」

安堵の溜息をつく龍太郎。

「うむ。いい加減にお前を解放してやらないと…」

教室の入り口付近をチラリと見る龍娘。

『わわっ…』

慌てて顔を引っ込める、無口な女子生徒の姿が見えた。

「お前の身を案じている者もいるようだしな」