国立病院――



病院に着いて、わたしは待合室にいた。



わたしはまだ、両親の死を自覚できずにいた。




一時間前――




『あなたのご両親はお亡くなりになりました。合わせてあげたいのですが、あまりにも――ひどい状態なので、あまりおすすめしません。会ってもわかるかどうか…』


お医者さんが言った。



『それでもいいんです!合わせてください!』



わたしはお願いした。



『…わかりました。ついてきてください。』






そして。






わたしが目にした光景は――







あまりにも残酷で――





言葉を失った。





顔は…顔とは呼べない状態になっていた。




それでも――







二人の手に付いて光っている、





結婚指輪だけが――






二人の存在を示していた…






「凜さん…」





「凜さん…。とりあえず今日はわたしの家に…」





山ちゃんが言った。





「家にかえるっっ!!!」





わたしは立ち上がった。





「ちょっ…!凜さん!?」





わたしは病院を飛び出した――