キミを想う。




「あ、あの、私そろそろ行くね」


お弁当箱を閉じて校舎の中へ戻ろうと声をかける。



「またいつもの?」


「えっ、あ…はい、そうです」


「ふーん…」


呆れた表情を向けるユキくんにびくびくしながら、校舎の中へ入った瞬間、「笹原!」と野太い声で名前を呼ばれビクッとする。



「すまんな!今日も」


そう言って豪快に笑う世界史の先生。



「これ鍵だ。終わったら職員室に返しといてくれ」


そう言って鍵を渡され受け取る。



実は入学して以来、担任の先生である世界史の中谷先生に、時々、資料室の資料整理を頼まれていた。


たまたま先生に質問があり、資料室に行ったのがきっかけで、何故だか資料室の整理を頼まれるようになった。


まぁ、友達いないし、教室にいるのも居づらいから、資料室の整理とかこつけて、一人の居場所があるのは助かっていた。


でも片付けても片付けても終わらないんだよなー…。


「はぁー…」と溜め息をつきながら項垂れる。


トボトボと資料室へ向かっていると、「ゆず?」と名前を呼ばれ、顔をあげる。