「あっ!まだ私、撮れてない!」



そのまま行こうとするユキくんの手を引っ張ると、「おっ?!」っと小さな声を出しながら、後ろにバランスを崩した。


倒れてくる!と思わず目を閉じ、ゆっくり目を開けると、もう少しでお互いの顔と顔がぶつかりそうな距離にユキくんの顔があり、バチッと視線が合う。


ドキッと心臓が鳴り、一瞬で顔が熱くなる。



「…悪い」


さっと立ち上がって私の腕を引っ張り、身体を起こすと、振り返ることもなく校舎の方へと歩き出した。



後ろ姿でも伝わってくる気まずそうな姿を見つめながら、自分の心臓がバクバク鳴り響いているのが分かる。


鼓動がなかなか収まらず、後を追いかけることが出来ずにいた。



どうしよう…。


心臓が落ち着かない…。


顔の火照りも引かない。


今、私、どんな顔してる…?