どこに行こうかと校内をウロウロし始めてすぐ、「なにしてんの?」と廊下で声をかけられ、その姿にびっくりしてしまう。
「ユ、ユキくん!?」
目の前には黒スーツに髪をピシッと整え、銀縁の伊達メガネをし、白い手袋をしたユキくんが立っていた。
カ、カッコイイ…と思わず見惚れてしまう。
「一人?」
「あ、はい…」
ユキくんの姿にドキドキして、返事や表情が緊張でぎこちなくなる。
「ふーん…。暇なら俺んとこ来て」
そう言うと背中を向けて歩き出すユキくんを慌てて追いかける。
周りにいる生徒や保護者である母親達までもが、ユキくんの格好いい姿に目を奪われている。
そんな人と一緒にいるのが自分でいいのかと思ってしまう。
「あ、あの。ユキくん…」
「なに?」
前を歩く背中に思い切って声をかけると、振り返り私の横に立つと、歩調を合わせて歩き出した。
「どうしてそんな格好してるの?」
「…俺んとこ、コスプレ衣装のレンタルしてるから。それで執事の格好させられた」
はぁー…と少し怠そうに溜息を吐くその姿もまた画になる格好良さだと、ユキくんは自覚していないらしい。
「今のひとめっちゃ格好良くない!?」と廊下を歩いていると、他校生から密かに悲鳴が上がっているのに気が付いていない。



