「じゃあ俺と行く?」


「えっ!?」


黙って聞いていた瀬野くんの言葉に菜々ちゃんと二人、びっくりした声をあげる。



「本当は菜々子のとこ行きたいんだろ?俺と一緒だったら怖いの大丈夫だって」


何を根拠に大丈夫だと言っているのかは分からないが、瀬野くんと二人で行くなんて、菜々ちゃんに申し訳ない。


それに恐怖よりも瀬野くんと二人きりということに堪えられるか分からない。



「えっと、でも…」


何て断ろうかと菜々ちゃんをチラッと見る。



「郁斗来てくれるの?それだったらゆずも安心だね!私は一緒に回れないから、一つでも誰かと楽しめるんなら良かった」


ニコッと菜々ちゃんは私と瀬野くんに笑うと、「じゃあ待ってるからね」と教室へと戻っていった。




菜々ちゃん、本当に格好良過ぎるよ。


私は自分のことでいっぱいいっぱいなのに。