キミを想う。




「はい」


暫くして戻ってきたユキくんはチケットを私に渡すと、「入るよ」と言って先に進んでいく。


えっ!?


やっぱり怖い映画観るの?!


憂鬱な気持ちで慌ててあとを追いかける。



隣に座るユキくんは映画の予告を真剣な表情で観ているのに対し、これから始まるホラー映画に私は冷や汗が止まらない。


真っ暗になりいよいよ映画が始まった。


……あれ?


隣に座るユキくんに視線を向けると、私の視線に気が付き、「これしかこの時間帯の映画がなかった。ごめん」と小声で耳元で囁かれる。


その行動にドキーっと心臓が飛び跳ねる。


ホラー映画が苦手と分かったユキくんはわざわざ違う映画に変更してくれていたみたいだった。


加穂さん達と終わる時間帯が同じ映画がこれしかなかったと、外国の恋愛映画に変更してくれていた。



「…ありがとう」


聞こえるか分からない声でお礼を伝えると、ユキくんは少し微笑んだ。