宙を駆けるように跳んだ僕の体は狙い違わず目標の漂流物の上へ。

しかしそこで止らず跳んできた勢いを殺すことなく次の漂流物へ向かって跳ぶ。

自分自身も跳ぶ目標もランダムに流れるこの場で漂流物に載っているのは一瞬。

その刹那の間に次はどれのどこにどうやって跳ぶかを判断し決断しなくてはならない。

苦しい戦いだがほぼ毎日サーキットや闘技場で無目的に鍛え上げた僕の身体能力はダテじゃない。

やれる!後少しだ!

だが、チィィッ!おそらく対岸までの最後の中継点になりそうな漂流物が若干遠い。

しかし勢いを殺す事はできないから迷わず跳ぶしかない!

僕は渾身の力を込めて踏み切った。

「とぉどけぇぇー!」

……ああ……僕は今空を飛んでいる……ひょっとしたらこのまま漂流物を中継せずに対岸まで行っちゃうんじゃないか?

そうさ、僕は飛んで行ける。あの虹の果てまでも!

ハイになり妙に間延びした時間の中でそんな事を考えていたら……

ドッボーン!

届かなかった。

僕は美しいスプラッシュをあげて濁流へとダイブした。