バイトは平日三日間二時間と、休日二日間三時間だ。それほど長時間のバイトではなく、時給も九百円に休日は昼食つきとなかなかで、高校に入学してすぐに私はここでバイトを始めた。
「波、上がれ!」
「はい、お先に失礼します」
鈴さんのその声で、私のバイトは終了する。店の制服から高校の制服へ着替え、腕時計を確認する。時刻は午後六時前。
慌てて裏口から出て、駅まで早足で歩く。早く家に帰らなければならない。もし遅くなったら────。
唇を噛み締めて、私は足を速めた。
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──扉を音をたてぬように開けて、同じくゆっくりと慎重に閉める。静かに靴を脱ぎ、脱いだローファーを抱えて、足音をさあさいさわ細心の注意を払いながら階段を上がる。
自室についても安心できない。早く夕食をつくらなければならない。
畳んだ薄い布団──布団を広げると部屋がいっぱいになってしまうのだ──と小さな机、それから大きな本棚と小さめの箪笥しかない部屋に荷物を置き、また静かに部屋を出る。
向かう先はキッチンだ。
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