不意に視線を感じた。男を見上げると、目が合う前に気まずそうに反らされる。どうかしたのだろうか。
自分の格好を見直して気がついた。──あの二人組の男に、服の前を破られたままであったのだ。
あぁ、と小さく声を漏らして、着ていた上着の前を閉めようとした。しかし、ジッパーが壊れている。ここに来る前は壊れていなかったはずだ。つまりは、あの二人組に壊されたということである。
壊されたという記憶はない。だが、たしかに壊れている。いつ壊れてしまったのだろうかと思案しはじめると、男が呆れたように溜め息を吐いて、男自身が着ていた真っ黒な上着を、座り込んでいる私の頭の上に被せてきた。
「…………それ着てろ」
「……大丈夫です」
幸い下着は無事である。裸なわけではないのだ。問題はない。
男に上着を返そうとすると、再び呆れたような溜め息が降ってきた。
「下着、見えてるだろうが」
「……裸ではありませんから、問題はありません」
ジッパーが壊れているとはいえ、上着の前を手繰り寄せれば下着も隠れる。なんら問題はないはずだ。
「…………そういう問題か?」
「……? えぇ」
そういう、という意味がわからなかったが、取り敢えず頷いておく。
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