漆黒の瞳

 




何事かと、恐る恐る目を開け目にしたのは、うずくまる二人の男と、私の前に立つ一人の長身の男。



その長身の男は、今時珍しい漆黒の髪を靡かせ、うずくまる二人の男に近付いた。




「…………失せろ」




低く響く威圧感のある声。



「ひぃっ……」



うずくまる二人の男のうちの一人は、悲鳴を上げて震えだし、もう一人は失禁をして気絶する。


目の前に立つ男が、こちらを振り向こうとした。


その隙にうずくまった男は、気絶した男を抱えて逃げ出した。



「……大丈夫か?」


「っ…………」




――男が振り返った瞬間、時が止まった気がした。恐ろしいほどに整った顔立ちをした、獣ような男。吸い込まれそうなほど深く澄んだ漆黒の瞳から、目が離せなくなった。