―――数分前。


ガッシャーン


窓ガラスから侵入した私は、建物の奥へと進んでいった。


「確か下見ではここらへんに……」


ガラスの破片で切り傷があるが、気にせずに歩いていくと、一つの宝石がかざってあった。


パカッ


厳重にかざってあった宝石だったが、前もってセキュリティーを解除していたのですんなりあいた。


「ちょろいちょろい!ダイヤのベールゲット」


バンッ


「そこまでだ!」


私は奪ったベールを頭にかぶりながら破った窓から出ようとしたが、大きな音と共に警官に囲まれた。


「それはスラム人が気安く触れていいものではない!」


警官の一人がそう叫んだ。


私を囲っている警官は皆、拳銃を 私に向けていた。


「射殺命令が出ている。これで終いだな…ブラッディクロス」


そう言い、拳銃の引き金をひいた。


「…私を……嘗めるなぁぁぁ!」


私がそう叫ぶと、それに反応したように緋い逆十字が光りを放った。


「ひっ……ば、化け物!!」


銃弾は私に当たることはなく、私の後ろにいた警官の頭に命中した。


即死だったらしく、悲鳴は全く聞こえなかった。