ウーーウー―


夜中の2時。
沢山の警官と沢山のパトカーが一つの建物を中心に慌ただしく動いていた。


「ありゃりゃ残業かな?ご苦労様って感じね」


そんな警官たちを高い所から見下すのは、一人の少女だった。


服装はとても露出の高いものだったが、黒一色で染まっていて、白い髪がよりいっそうに映えていた。


「それじゃあ、参りましょうか」


少女はそう言って、高い所から両手を広げながら飛び降りた。


「現れたぞ!ブラッディクロスだ!!」


一人の警官がそう叫ぶと、一気に視線が私に向いた。


警官だけではなく、近くにいた観客達の視線も。


「こんな時間までお仕事なんて、家族が心配するわよ?」


私は緋い逆十字の右目を開けながら微笑んだ。


「そう思うならさっさと投降しろ!」


「冗談!そんなかんたんに投降するなら最初っから怪盗なんかやってないわよ!」


ガッシャーン


私はそう言った後、警官達が守っているであろう建物に窓から侵入した。


「チッ…身軽なやつだ。……何をしている!さっさと追え!!


舌打ちをしたあと、上司と思われる人が部下に命令した。





「相手はスラム人だ。殺しても構わん」